王妃の手は氷のように冷たく、一瞬怯んでしまった。
「っ、王妃…。起きてください。そしてもう一度私の髪を撫でてください。」
嗚咽を漏らしながらも、王妃に呼びかけるが、反応は得られなかった。
「おう、ひ…、おう」
隣にいた王の手がフローラの頭に伸びた。
「最後は家族として、母を見送ってやろうではないか。」
その言葉に、堰が外れたように大声で泣き出してしまった。
「お母さま、かあさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁx。」
どうしてこんなに悲しいのだろうか。
どうしてこんなに胸が苦しいのだろうか。
どうしてこんなに…。
愛する人がいなくなるとは、どうしてこんなに…。
私は気付いてしまった。
愛する者を作るとは、こんな気持ちを生み出すということ。
ならば、いっそ誰かを愛することはもう二度ど、辞めよう。

