3時少し前にカフェに行くと千紗が来ていた。
 早めに来るのが千紗らしいと思えて微笑んでしまう。

 千紗がこちらに気づくと不安そうな瞳を向けられた。

「あの……どういうことかな……?」

「うん。もう少し待って。
 嫌な思いをさせちゃうと思うけど……。
 ごめんね。俺、千紗が……。」

 好きだよ。大事だよ。
 そんな言葉が口から出ることはなかった。

 後から来た奴が視界に入ったから。

「仁木くん!どうしたの?
 こんなところに……ってこの女、誰?」

 俺と同じテーブルに座る千紗を怪訝そうな顔で見ている。

 あと1人………。
 あぁ…やっと来た。

 みんなより少しだけ遅く来た人物に安堵する。
 今日はまぁ遅れなかった方だ。