裕のままなんだけど、どうしてか体が震えてしまった。
 本当は裕が少し怖かった。
 裕のままだったのに。

 その思いを払拭したくて、ギュッとしがみつく。

「ねぇ。何もしないから俺も脱いでいい?」

「え?えぇー??」

 返事を聞かないまま裕が脱ぎ出してしまう。
 目の前に鍛えられた体がさらされて目がチカチカする。

「ほら。こうした方が千紗が近い。」

 さっきよりぬくもりが近くて、余計にドキドキする。

「そうだ。
 ベッド行っていい?」

 また返事を聞かずに裕は私を抱きかかえて立ち上がった。
「ひゃぁ」って悲鳴に「千紗、可愛い」っていつものからかい半分な声のトーンで言われて、何故だか安心した。

 そっと降ろされて、また目の前に裕の裸があってドギマギする。
 目をそらしてるのに気づいた裕がフッて笑うと布団をかぶって、そのまま私に覆いかぶさった。

「ほら。これなら見えないから恥ずかしくないだろ?」

「う………。」

 嫌だ。なんか。
 なんでもかんでもお見通しで。

「だから!こんなの変だから!
 服、着て!!」

 そういうのに離してくれない。

「いいだろ?
 もうちょっと千紗を感じてたい。」

 切ない声色はすごいことを言われているのに、何故だか断れない。

 思わずチュッと頬にキスをした。

「どこにも行かないでね。
 私も行かないから。」

 言い終わると同時に抱きしめられる。
 何度抱きしめられてもドキドキして、今はより一層近い裕にますますドキドキした。

 どこにも行かないでね。なんて。
 私、そんなこと言えるようになったんだなぁって変なところで感心してしまう。

 裕はやっぱり不思議な人だなぁ。