動揺したような声を出す裕がやっと目を見てくれた。
 その瞳はゆらゆら揺れていて、今にも涙がこぼれてしまいそうだった。

「だって、今日浩大と会うって。」

「うん。会ったは会ったんだけど、裕が好きだから帰って来ちゃった。」

 千紗は自分の気持ちを伝えようと、裕と向き合った。

 私が今まで逃げてきたからいけないんだ。
 私が自分の気持ちを飲み込んだりしたからいけないんだ。

 わがままでもなんでも裕にちゃんと言わなきゃ。