アパートについてインターフォンを鳴らす。
 深夜じゃないんだから控えめなノックなんかじゃなくていい。
 それにしたって乱暴にインターフォンを押した。

 中から気まずそうな千紗が顔を覗かせた。

「あの……ごめんね。」

 なんで会いたいなんて。
 どうして………。

 浩大に会って思う存分、甘えたんじゃないのかよ。

 千紗の顔を見たって嬉しい気持ちは微塵もわかなかった。
 嫌でも頭に思い浮かぶ浩大と一緒にいる千紗。
 心臓をえぐられる思いがして、千紗に寄りかかった。

「………裕?」

 もういいじゃないか。

 浩大がそうなら千紗だって同じだったんだ。
 男とそういうことがあった後にだって別の男を部屋に呼んだりできるんだ。

「男を部屋にあげるのが、どういう意味か分かってんだよな?」

 そうさ。お望み通りにしてやるだけだ。

 乱暴に抱きかかえて押し倒す。
 「ひゃっ」って悲鳴をあげた口を強引に塞いだ。

 柔らかさを感じる余裕もないほどに貪るように重ね合わせる。

 何も言わず抵抗もしてこない千紗の体に手を這わせ、華奢な体に…………。

「………やる気失せた。帰る。」

 虚しいだけだった。
 こんなことして何になるんだ。

 千紗の体から離れ、背を向ける。
 もう帰ろう。それで今度こそ忘れよう。

 不意に手を取られ、ハッとした。