「裕……ど、どうしたの?」

 戸惑っている千紗も可愛い。

 ほんの数日会ってないだけなのに、ずいぶん会ってなかった気がしてしまう。

「会いたいなんて千紗が言ったら来ないわけにいかないだろ?」

 胸いっぱいに千紗の風呂上がりのいい匂いをためておく。
 離したくないけど、でも………。

「ほら。手、繋ごう?」

 千紗を腕の中から離して、手を差し出すと、コクリと頷いた千紗が俺の手の上に小さな手を重ねた。

 それをそっと握る。

「抱きしめてても話せるようになったみたいだし、ずいぶん成長してるよな。」

 真っ赤な顔して首を振る千紗。
 そっと頬に唇を寄せれば目を見開いた千紗が頬に手を当てて、俺を見上げた。

「可愛い。千紗。
 俺、千紗のこと………。」

 ブーッブーッと携帯が音を立てた。
 騒がしいのは千紗の方の携帯だった。

 手を放してやると携帯を確認している。

「え………。浩大…。」

 な………。

 愕然として視線を落とせば、見るつもりがなくても携帯の画面が見えてしまった。

『久々に千紗に会いたいな。
 明日は空いてる?』

 千紗が困った顔をこちらに向けてきて胸がギュッと痛んだ。