メールを送っても胸がドキドキして寝つけない。
 裕は甘え講習の一環だって言ってるのに、好きとか送って……ひかれたかな。

 こんなに大胆なメールを送るのは初めて。
 思えば好きなんて誰かに言ったのも直接はもちろんメールでも初めてだ。

 ほら。夜だと恥ずかしいラブレター書いちゃうっていうアレと同じだよ。
 そんなこと思ってみてもドキドキしている心臓は落ち着いてくれない。

 送ったメールを取り消したくても、もう送信済みだ。
 裕からはもちろん返事はない。

 おやすみって言われた後にあんなメール送るんじゃなかったかな。

 心の中がごちゃごちゃになって、裕がくれた『好きだよ』のメールをもう一度見ようとメールを開く。

 裕からの『好きだよ』の文字を見てみれば、また心臓が飛び跳ねたのを感じた。

 すると手の中の携帯が振動して、ドキリとする。
 裕から……メールだ!

 意を決して見てみた内容に目を見開いた。

『俺も。
 だから会いに来ちゃった。』

 え?な、何が???

 動揺し過ぎている千紗にドアが控えめにコンコンとノックされた音が聞こえた。

 恐る恐る起きて玄関まで行く。
 のぞき穴からのぞくと裕が本当に玄関の前に立っていた。

「裕!」

 急いで開けると裕がふにゃっと可愛い顔に崩れて、そのまま抱きすくめられた。

 裕の背中の向こうでパタンとアパートのドアが閉まる。

「来ちゃった。」

 可愛い……。
 裕は男の人なのに私よりずっと可愛い。

 そう思う千紗に裕の声が届く。

「千紗って本当に可愛いな。」