「お待たせ。」

 俯いてた顔が嬉しそうに上がって、また下を向いてしまった。
 裕一はカフェにいた千紗に話しかけていた。

 なぜここに来たのか。
 ま、暇つぶしってやつ?

 千紗は待ち合わせの時間からずいぶん待ったようだ。
 目の前のグラスの氷が溶けてほとんど残っていない。

「ねぇ。君って『つまらない女』ってよく言われない?」

 ハッとした顔を上げた千紗の目に涙がみるみる溜まっていく。

 おいおい。勘弁してくれよ。
 でも……。

「ねぇ。俺に甘え講習受けない?」