やっぱり振り回されっぱなし。

 でも…振り回されてるお陰で「私って可愛くないなぁ」なんて卑屈に思わなくても済んでる……。

 不思議な人だなぁ。裕って。

「なぁ。
 自分から「ねぇ食べさせて」っておねだりするのがいいか、んーそうだな。ほっぺにチューとどっちがいい?」

「は…。」

 ちょ、ちょっと待って。
 どういう選択肢?

「ブブーッ。はい、時間切れ。
 ほっぺにチュー決定しました!」

「な、なんでそうなっちゃうの?」

 さすがに今のは理不尽過ぎるんですけど!

「ほら。可愛いスキンシップに慣れた方が甘え上手になれるってもんだぜ。
 あぁ。それとも千紗からチュッってしてくれる?
 ご飯作ってくれてありがとっのチュー。」

 どれもこれも目が回りそうな提案にあたふたしていると、裕の顔が近づいてきて…。

 チュッ。

 うわー!
 ちょ、ちょっと待ってよ!

 声にならない叫びが頭の中にこだまする。

「大丈夫だって。
 これもれっきとした甘え講習だぞ。
 浮気ではありません。」

 ニッシッシって笑う裕に言われても、どう受けとればいいのか分かりません!