相変わらずほかの人と話している奈那を置いて、希音と教室に向かう。

『ホントに希音と同じクラスでよかった。死ぬ所だったよ。』

「もぅ〜美麗ったら!違ったとしても話せたでしょ!
そういううちも嬉しいんだけどさ!」

そうこう話しているうちに、教室に着いた。

教室に入った途端目に入ったのはありえない人だった。

さっき目に入った名前は本人だったらしい。


松下翔
中学2年の時母と父が離婚し、県外へ引っ越した。
それから一回も会わず連絡もとっていなかった。
でも、引っ越す前はよく遊んでいて世間的に言えば“幼なじみ”

「どうしたの?美麗」

固まっている私を見て心配した希音が声をかけてきた。

だが、私の目線の先を見て気づいたらしい。

その時一瞬悲しそうな顔をしたのを私は気づかなかった。

『ううん。何でもない。』

私は笑ってそう答えた。

向こうが気づいていないのが幸いだろう。

まぁそのうち気づくだろうけど、その時の反応が怖いんだ。