『ん…』

目が覚めると真っ白な天井が目に入った。

ん?手を握られている感触がして目を向けるとそこには翔がいた。

『翔?』

すやすやと寝ていて起きる気配のない翔。

『しょうがないなぁ』

私が今、ここにいる理由はわからないけど取り敢えずナースコールを押した。

目が覚めて自分で押すのもどうかと思うけど、、


「大丈夫ですか?…あっ目が覚めたんですね」

そうして5分とかからず駆けつけてくれた看護師さん。

その看護師さんの声で翔はやっと目を覚ました。

「美麗!?良かった、、目が覚めたんだな」

『…ふっ』

翔の反応があまりにも大き過ぎて思わず笑ってしまった。

「なに笑ってんだよ。お前危なかったんだぞ?」

その言葉にキョトンとしてる私を見て何かを悟ったのか

「まさか…またお前…」

1人で悩み込んでしまった翔。

気になり声を掛けると

「あぁ、悪い。お前忘れてる事ないか?」

と聞いてきた。

…忘れてる事、か。

『高校に入学したことは覚えてる。そこで翔に会ったことも。』

その言葉で安心した様子の翔に向かって更に私は、

『でも、翔に関すること以外はそこだけ切り取られたように抜けてる』

と言葉を繋げた。すると翔は

「そうか…」

そう言って病室を出ていってしまった。