涙色に染まる恋

«美麗side»

『ここは…?』

目を開けるとあたりは真っ暗だった。

「ここはあなたの意識の中」

暗闇のどこかから声が聞こえてきた。

『あなたは?』

どこからともなくする声に向かって問いかける。

「私はあなた」

『そう』

なんとなくそんな予感はしていた。

「それでは改めて

“記憶の世界”へようこそ」



突然鍵のついた扉が現れた。

と、思えば映像の様に私の“記憶”が流れてきた。

「それでは、まず最初はあなたの忘れている記憶から遡っていきましょう」

ナレーションのように聞こえてくる声に耳を傾ける。

…?忘れている記憶?

問いかける間もなく流れていく記憶。


それは、小学4年生から5年生までのものだった。

始業式から始まり、徐々に

「消えろ、ブス」

そんなことを言われるようになっていた。

途中で道を踏み外したらしい。

思い出すと同時に鮮明になっていく記憶。

5月のこと──

運動会でリレーの選手になった私。

特に足が速かったわけでもない。

ただ単にくじ引きで決められて私の名前が引かれた。

当然私は足を引っ張るだろう。

そのお蔭でいじめられるようになったのだ。

最初は陰口を言われる程度だった。

それがヒートアップしていき無視されるようになり、遂には手まで出してきた。

“なんで私だけ”

“私は何も悪いことなんてしてないのに”

何度そう思ったことか。

最初は私もやられっぱなしではない。

口答えだってしていた。

でもそれはいじめている方を煽っただけでなんの意味もなさなかった。

イジメは5年生の半ばまで続いた。

だが、突然終わりを迎えた。

私が自殺をしたからだ。

毎日暴言を吐かれ、暴力を振るわれ、心も体もボロボロになった私は命を絶とうとした。


-でも、出来なかった。


手首を切って意識を失う直前だった私を翔が見つけたのだ。

どんなにいじめられていても翔だけはずっと味方でいてくれた。

“見つけてくれたのが翔で良かった”

そう思いながら私は意識を失った。