『はーい』

そう返事をして玄関を開けた。

が、一瞬理解出来ず扉を閉めようとした。

「おいっ!ちょっと待て」

いや、待つわけないだろ。

心の中で突っ込んだ。

『何でここにいる訳?翔』

そう。そこにいたのは翔だったのだ。

そりゃあ驚くに決まっている。

「何でって。気まぐれ?
、、っておいっ!閉めるな閉めるな!」

ムカついたからもう一回閉めようとした。

が、阻止された。

今は半開きの状態。

うん。今絶対君不審者だよ。翔君。

「だったら入れろ!口に出てるからな、今の!」

『わぉ、こりゃ失礼。、、て事で帰って!』

「いやいやいや、何でだよ」

『何でって、、
だって翔、来た理由ないんでしょ?』

私の言っている事は一理あると思う。

だって翔は“気まぐれ”と言ったのだから。

お?なんか理由あるのかな。

話そうとしているから扉、開けてやろうかな。


そう思って手を離したら、思いっ切り翔が倒れた。

どうやら扉の引っ張り合いをしている中で私が手を離したため、その勢いで倒れたらしい。

『ドンマイ』

「おい、お前のせいだろ」

えっ小さく呟いたのに、、
地獄耳かよ

『はぁ、で?なんで来たの?』

「ご飯食べに来た」

え、何言ってんの。

だいたいわたしまだご飯作ってないし、、


よし。帰ってもらおう。

『無理。ご飯まだ作ってないし』

「今から作ればよくね?てか俺も手伝うわ」

『えー、じゃあ自分の家で作って食べればいいじゃん』

これは当たり前の返事だろう。

だってうちに来る意味が無いんだから。

「、、、」

無言になり不思議に思った私は彼の顔を見た。

と、同時にうちへ招き入れていた。


-翔が、寂しそうな顔をしていたから。

はぁ、そんな顔されたら期待しちゃうよ。

頼られてるって。翔にとって特別なのかなって。