服を脱ぎ、体を流す。

頭を洗い体を洗おうとした時、左手首にある傷が目に入った。


-それは、何十本もある自傷行為の跡

『ふふっ』

思わず笑ってしまった。

だが、鏡に映る私の顔はひどく歪んでいた。



頬に冷たいものが流れた。

『え?あ、涙、、』

しばらく泣いていることに気づかず、放心状態で立っていた。

泣いたのはいつぶりだろう。

とうの昔で忘れてしまった。

でも何で急に。

『あぁ、翔と会ったからか』

今までと変わったことといえばそれくらいしか思いつかない。

そんなに翔と会いたかったとは。


最低だ、私。


希音も居たのに。

いつも一緒に居てくれたのに。

気を使わせて。

すごく優しくしてくれて。