偽りのシンデレラ

「校舎へ入るだけでこんなに鋭い視線を浴びるなんて…」

一人でボソボソと呟きながら階段を登ると女子の集団が私のもとへ向かってきた。

少人数で来ることはあったけど集団出来たのは初めてだった。

「あ、あの…なんでしょうか…」

私は身の危険を感じていた。
だって女子全員が短くしたスカートをはいてメイクもバッチリしていた。
ほどよく焼けた肌がブレザーから見える。
その中でも特にリーダーらしき人が私にこう言った。

「あんた私達のこと知らない？」

う、うーん。
噂などを全く聞いたことがないので
誰かわからなかった。

「えっと…はい…」

すると女子達は一斉に笑いだした。
「私達知らないとかうけんだけど！」

「私達はね…王子様の熱狂的なファン達が集まるグループなのよ…！！」

学校に王子様なんているんだ…
私はただただ驚くことしかできなかった。

「そうなんですか…それでなんで私のもとへ…」

怯えながら聞いた。
するとリーダーらしき人が私に鋭い視線を向けて言った。

「私達の王子がなんであんたなの？
偽りのシンデレラのくせにさぁ？
シンデレラなら仕方ないよ。お姫様だもん。私達の憧れよ。なのにクズみたいなあんたがなんで…」

さっぱり理解できなかった。

何の話をしているの？
王子様って誰なの？
私は疑問に思い聞いてしまった。

「あの…王子様って誰ですか…?」　

そう聞くと女子達は怒りながら私に文句をぶつけてきた。　

「あんた王子様知らないの！？信じられない！」
「なんであんたみたいなやつが！
このクズが！」
するとリーダーらしき人が私に
向かってきた。

「王子様のことを知らないあんたがなんで…なんで好まれるのよ！
こんなやつこの学園にいたら迷惑よ！」

そう言うと私のことを勢いよく押した。
かなりの高さのある階段から突き落とされたんだ。
女子達は私を見て笑っていた。

「キャーーー！」
私は叫んだ。




　　　　　　　"ぎゅっ"




ドンッと私の体は打ち付けられるはずなのに痛くない。
甘い香りが漂う。
顔をあげればそこには知らない男の人…
私の身代わりになって落ちたんだ。

「君。怪我はない？」

男の人は透き通るようなきれいな声でそう言った。

「わ、私なんかなんでかばったんですか…　それより貴方こそ怪我してるじゃないですか…！
ほ、保健室に…」

私はそう言ったがさらっと無視をして女子達の元へ歩いていった。

すると女子達は顔色を変えて言った。

「お、王子様…」

王子様と呼ばれた彼はにこりと微笑んだ。