いつの間にか寝てしまっていた。服を着たまま。
夜中に目を覚ました。時計を見ると午前3時すぎ。
起きたついでにシャワーでも浴びるか。
部屋を出ると居間に姉さんがいた。
「まだ起きてたの?」
おれに気づいて姉さんが言った。
タンクトップに短パン姿で、牛乳を飲んでいる。
美人で底知れぬ頭脳の持ち主。その上スタイルも抜群…。
どんな男でも惚れてしまうだろうな、普通…。
いけないいけない、あくまでも姉ですから…。
「いや、今まで寝てた…。姉さんは?」
普通に会話するの初めてかも…。
「勉強に決まってんじゃない、あと半年しかないからね…」そうか、そうだよな…。
東大の理科三類を目指すには、こんな時間まで勉強しなきゃならないんだろうな…。やっぱり凄いや。
「お疲れ様です」
と言って、頭を下げた。
「ところであんたはどうするつもり?」
唇の上に牛乳で白いヒゲを作った姉さんが聞いてきた。
「おれ?これから風呂に入ります…」
「ばか、進路の話しよ」
あっ、そういう事ですか…。
「えっと、北高…」卒業しました。12年前に…。
「はぁ?なに言ってんの?あんた鳴醒じゃないの?」
驚いた顔で姉さんが言った。
「えっ、めっ、鳴醒…。そ、そんな無理でしょ…」
鳴醒高校。
県内有数の進学高ですよ、あそこは。
東高ですら比べものにならないほどの…。
「あんた、ちょっと変だよ、最近…」
と、言いますと?
「あたしの存在無視するは、馬鹿みたいな質問はするは…。本当に病気なんじゃないの?大丈夫?」ヒゲに気づき舌をペロッと出した。
「へ、変ですか?おれ…」
別に後ろめたい事じゃないけど、おどおどしながら聞いた。