「母さんか。母さんはいつも笑っていて。ああ、そうだ」


お父さんは夜空を指差した。


その指を追って、私も空を見る。


「いつも優しく見守っていてくれた。微笑んで、寄り添ってくれた。星みたいな人だったんだ」


「星……」


晴れた夜空にはたくさんの星が瞬いていた。


「星はどこを歩いていても、雲や建物が邪魔をしない限り、空を見上げればそこにあるだろう。振り向いたらいつも傍にいる、そんな人だった。

人が死んだら星になるなんて言うけど、母さんならもしかしたら本当に、あれらの星のどこかで今も見守ってくれているかもしれない」


お父さんの言葉を聞いて、あの星だと私は閃いた。


いつか見た、私みたいなひとりぼっちの星。