頭で考えるより早く、言葉が出ていた。


「茜?」


お父さんの声は穏やかで、しかし、少し混乱している響きがあった。


「私、お父さんのことを何もわかってなかった」


お父さんの目を見つめる。


お父さんの目は戸惑うように左右に揺れている。


「お父さんは私のために働いて、私のためにプレゼントを用意して。私のことを考えてくれていたのに、私はそれに気づいてなかった。

自分一人が不幸だと思い込んで、自分勝手で我が儘で、小さな子供みたいに癇癪を起こしていたの」