頭で考えるより早く、言葉が出ていた。
「茜?」
お父さんの声は穏やかで、しかし、少し混乱している響きがあった。
「私、お父さんのことを何もわかってなかった」
お父さんの目を見つめる。
お父さんの目は戸惑うように左右に揺れている。
「お父さんは私のために働いて、私のためにプレゼントを用意して。私のことを考えてくれていたのに、私はそれに気づいてなかった。
自分一人が不幸だと思い込んで、自分勝手で我が儘で、小さな子供みたいに癇癪を起こしていたの」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…