ジャリッと砂を踏む音が響き、お父さんがこちらを向く。


「茜……」


目が合った。


暗くて明確には見えないけど、確かに目が合った。


だけど、お父さんはすぐに目をそらし立ち上がる。


「行かないで!」


お父さんの元へ走り寄り、腕を掴んだ。


今度こそ、絶対に離さない。手に力をこめる。


「お父さん、ごめん……なさい」