お父さんにはお父さんの想いがあるとか、プライベートがあるとか、

そういうことを今まで一切想像したこともなかった。


お父さんはお父さんという認識だけ。


ずっと走っていて、息が切れて胸が苦しい。


もしかしたら、もっと遠くに行ったのかもしれない。


それでも、私は諦めたくなかった。


走ることをやめると、諦めることになりそうで怖くて、私は走り続けた。


崇さんもそれに付き合ってくれる。


静かな住宅街に私たちの息づかいと足音が響いていた。