お父さんは寂しそうに笑って、私の代わりにリビングを出ていこうとする。


私は思わず追いかけていた。


「ま、待って……」


お父さんの腕を掴む。


だが、お父さんは歩みを止めず、手が解けてしまった。


「あ……」


それ以上動くことができなかった。


お父さんが靴を履き替え、家から出ていくのをただ黙って見ていた。


扉が閉まっても、私はそこに突っ立っていた。


どうしたらいいのか、わからなかった。


お父さんを傷つけた。


あんな顔をさせたかったわけじゃないのに。