別れを惜しむことなく離れられるという、わかりやすすぎる態度に、

がっかりしたような気持ちになる。


私は崇さんに何を求めていたんだろう。


バイクの音が遠ざかり、見えなくなってもそこからしばらく動けなかった。


どのくらいたったのか。


見送りだけだからとコートを羽織っていなかった私は、体が冷えてしまい、クシャミをした。


それをきっかけにして家の中へ戻る。


崇さんのことは考えず、お父さんの反応を想像して、気持ちを切り替えていく。


楽しい気持ちで心を塗り替える。


だけど、お父さんは帰ってこなかった。