所長でも現場の仕事をしているんだ、と驚いた覚えがある。


少年の母親ということは40代くらいの年齢だと思うけど、30代に見える若々しい人だった。


そう思い返していると、「……って、ああ!」と少年がいきなり大きな声を上げたので、

心臓がバクバクする。


今度はなんだ。


少年は一気に距離を詰めると、

ブルゾンのポケットから取り出したスマホの画面を、私の顔の前に突きつけた。


その拍子に、突き出した彼の腕の辺りでネギとゴボウがぷらぷらと揺れる。


ネギとゴボウ。

なぜ、ネギとゴボウ。