それから15分後、

キャメル色のコーデュロイパンツと黒のセーター、グレーのダウンコートに着替えた私は崇さんのバイクの後ろで必死にしがみ付いていた。


バイクに乗るのは2回目で、慣れていない。


バイクが、というよりも崇さんと密着することに落ち着かないのだ。


走行音や風の音で、私の心臓の音なんて聞こえないとは思うけど、緊張が伝わらないか不安になる。


そうしたら、さらに緊張してしまう。


「ねえ、どこに行くの」


風の音に負けないように、大きな声で問いかけた。


返事はすぐに来る。


「クリスマスマーケット」

「は?」

「だーかーら、クリスマスマーケット!」