それに、やったことと言えば、具材を切って、鍋に入れて火にかけたくらいで、 調理らしい調理は本当にしていない。 褒められるほどのこともしてないんだ。 キッチンにある炊飯器から白米をよそって、食卓へ運ぶ。 父は鍋用の取り皿にポン酢を入れてくれていた。 「ありがとう、お父さん。食べよっか」 「ああ」 席について手を合わせると、お鍋の蓋を開けた。 グツグツと煮立っていて、食べられそうだ。 お父さんは自分の取り皿に穴あきのおたまを使って豆腐を入れた。 私も無難に豆腐を選ぶ。