私たちは挨拶を終えるとリビングに入った。
真衣と一緒に、ソファに腰を下ろしたところで、
崇さんが紅茶と焼き菓子を持ってきてくれて、私は下ろしたばかりの腰を上げた。
これは決して崇さんの仕事ではない。
家政夫とは言っても、料理と掃除の契約だけで、接客までするメイドとは違う。
「すみません、こんなことさせて」
「あー気にすんな。友達が来るって言うから、何かあった方がいいと思って、オレが勝手に用意しただけだ」
そうやって差し出されたのは、見覚えのあるブールドネージュとクロッカンだった。
「これってもしかして、favoriの?」
真衣がブールドネージュを1つ手に取って崇に訊く。


