玄関で靴を脱いでいると、リビングからエプロン姿の崇さんが出てきた。


「お帰り」

「ただいまです」


私は崇さんに頭を下げた。


誰かと「お帰り」「ただいま」と言い合うことも少なくて、こそばゆい。


「あなたが崇さんですか? はじめまして、隣に住む鈴木真衣です」


靴を揃えて脱いだ真衣も、上がり框を上がると丁寧に頭を下げる。崇さんも同じように返した。


「はじめまして、紺野崇です」