だが、世の中というものは、理不尽だった。

「何?剣術指南の役目を断られただと?」
私は、その話が嘘であってほしかった。

「えぇ。残念ながら。」
役人は顔を俯かせて言った。

「何故ですか?」

「拙者も近藤さまがよろしいと思ったのですが、…」
役人は急に言葉を止めた。

あぁ。私は理解した。
問題なのは私の剣術でなく、出自なのだと。

私は近藤家の養子になったとかて、農民の出であることに代わりはないのだ。