「冗談ですよ。」
私は、そう言って葉月に微笑みかけた。

「じゃぁ…」
葉月は期待に満ちた目で私を見た。

「勿論、覚えてますよ。街へ、出かけるのですよね?」

そう、私はあの日以来、葉月と並んで街を歩くことは、なかった。葉月はこの7年、ずっと街へ、行っていなかったのだ。