そしてひと月近く過ぎた。


私は正美の店を手伝いながら、職探しもしていた。


店の2階が二間あり、倉庫と化していたひと部屋を一緒に片付け、仮住まいさせてもらうことになった。


やはりバイトだけでは食べていけないし、家賃も払わなければいけない。


ふと表で女の子の声がした。
女の子といっても二十歳くらいか。


「あっ、ねえねえナオキ、有華の誕生日プレゼントこの辺で見てみようよ」


偶然通りすがりで見かけたようだった。


ナオキ、か。
その名前に、ピクリと反応してしまった。


スマホの番号も変えたし、もう会うこともないんだろうな。


そんな風に思いながら、外よりに整理をしながら声を掛けてみる。


「いらっしゃいませ…」


「佐那ちゃん…?!」


「はい」


一瞬どこで呼ばれたのかとキョロキョロして、声に覚えがあることに気づく。


―――まさか。