日曜日の前日。


 あたしは牧原の家に麗美と萩原とお邪魔していた。


 逆上れば昨日、あたしは当日何を着て行こうかと迷っていて教室であーでもないしこーでもないしと嘆いていた。


 一昨日の夜、コーディネートを何パターンか組んでみたけれど、どうもこれと言ってマシな服がなかったのだ。



「わたしの洋服貸してもいいんだけど、でも、兄ちゃん絶対わたしの洋服だって気付くよね…」

「あ、やっぱそうだよね…」



 学校以外の休日となると、いつも基本はパンツスタイルだ。だから当然、クローゼットの中はスカートもなく、ワンピースすら一枚も持っていなかった。


 もういっそのこと、買いに行った方がいいのではないかとそんな考えが頭を過る。


 そのときに、牧原が声を掛けてきたのだ。



「そう言えば、俺の家にめちゃくちゃ女の服あるぞ」

「え? 何で? どういうこと?」



 素っ頓狂な声を出したあたしは、牧原に尋ねる。そのとき、萩原が話に身を乗り出してきた。



「ああ、あのでっかいいくつもある衣装部屋のことだろ? 俺、ずっと前牧原の家に遊びに行ったとき、間違って入ったことあるよ」

「衣装部屋? …何、それ」

「牧原の上に、三姉妹がいるんだよ。なんか、レディースブランドのディレクターとかやってるらしい」



 牧原に三姉妹がいるなんて、初耳だ。まだ会ったことはない。



「…でぃれくたー、って何?」



  よくわからない言葉が出てきて、あたしは牧原に質問をぶつけた。