「一緒に、空を見よう」



 彼は優しい目でわたしを捉えた。


 彼はわたしに少し日に焼けた大きな手を差し出す。わたしが手を伸ばすとギュッと優しく包み込み、手を握り締めながら、一緒に空を見上げた。


 雲がひとつもないきれいな青空。


 上の景色をひとつひとつ切り取ってもそれは果てしなく同じブルーの色が続いていた。


 わたしは、あまりにも太陽が眩しすぎて顔を顰める。


 時折優しく吹く風が何だかとても、…心地良い。


 時間なんてこのまま止まってしまえばいいのに。



「ずっと一緒にいよう」



 柔らかい笑顔で彼が呟く。



 貴方は誰?



 顔を見つめると、彼の顔がぼんやりと歪み始める。


 彼の顔は、やがてはっきりと見えなくなっていった。



 これは夢?



 自分の意識が、夢の中の意識なのか、それとも現実の中の意識なのか…。


 けれど、どこからかわたしに降り注いでいる光は感じる。


 目を瞑っていてもわかるくらい、朝の太陽がわたしを照らし続けている。



 暖かくて気持ちいい。



 ずっとこのままでいたい。



 お布団から出たくない。



 …眠りから覚めたくない…。



 わたしの意識は遠ざかり、ついに深い深い眠りに落ちていった。