「なんで、泣いてんだよ?」

「泣いてない。」

遥香が言った。


いや、泣いてるから。


「俺って、本当ダメな奴だな。」

そう言うと、遥香が首を横に振った。

「俺は、知らない内に遥香を傷つけてたんだよな…。

何回、俺のせいで泣いた?」

遥香の頭に手をおいた。


「さぁ…。」

遥香が言う。

「正直に言えよ。」

「……そんなの分かんないわよ。
数え切れない位だから…。」

遥香が苦笑いで言った。


「…俺は…。あの約束、守れてる…?」


守れてないに決まってる…。


けど、遥香は。

「うん。」

そう言って、頷いた。

「できてなくね?」


「できてる…。

あたしが泣いた時は、追いかけてきてくれるでしょ?」