(フィクションです~略~)

お昼になると、いつもの男の子が、ロールパンを買って、去っていった。私はその隣においてあるメロンパンをとり、売店のおばちゃんの前に置く。
「あんたも好きだねぇ」
ハハッとおばちゃんが微笑みかけると、私もニコリと微笑み返して。
「ううん、私はロールパンが大好きなんだよ。」
袋に詰めたメロンパンを手に、理科室に向かった。

~アンパンマンの魔法~

理科室に入ると、白衣の教師が黒板に無数の点を描いている。私はいつも座る一番端の、窓際の席につくと、メロンパンを口にした。いつもの甘さ、メロンの味は一ミリもしない。口の中はパサパサになっていく。私はカフェオレを飲むと、白衣の教師は後ろを振り向いた。
「会田くん、いるのなら僕に声をかけてくれといつも言っているだろ…」
彼ははぁとため息を着くと、沸かしたお湯をコップに入れ、インスタントのコーヒー豆を入れた。クッキーの箱を手に取ると、皿に数枚盛り付けた。白衣を脱ぐと肩にかけて、クッキーとコーヒーを持って、私の席の前に座った。
「そーすると本当にアンパンマンみたいだね。」
私は口の前に手を当てて、クスクス笑うと、白衣の教師がギロりと睨みつけた。
「みんなが僕をアンパンマン先生って呼ぶけど、そんなに似てるか?」
「とっても。」
先生はコーヒーを手に取り、口にする。ゴクゴクと音を鳴らしながら、飲み干すと、私を見て
「お前はメロンパンナだしな」
ニヤリと笑みを浮かべた。私は頬を膨らませると、アンパンマンは、本物のメロンパンナその物だなといってゲラゲラと笑った。私はふと黒板をゆびさすと、アンパンマンは頬杖をつき、星だと言った。
「明日の夜に流星群がくる。もしおまえに時間があるなら、ロールパンナちゃんを連れて来い。良いもん見してやるよ。」
私は一瞬動揺すると、アンパンマンは顔が赤いぞ?とニヤニヤしながら言っている。カフェオレを両手に添え、ストローを口の前に持っていくと考えておくと一言言い、カフェオレを飲んだ。


下校時間になり、売店に行くと、やはりいつもの様にロールパンを買っている彼がいた。私はメロンパンを手に取り、隣に並ぶと、彼は頭をポンポンと撫で、一言
「太るぞ」
と言って微笑んだ。胸の鼓動を抑えながら、真っ赤な顔を背けた。
「うっさい馬鹿」
ちらりと彼の顔を見ると、深く優しい黒い目で私を見つめていた。
「素直じゃねぇな」
ロールパンの彼はひらりと手をふると階段に向かう。私は震える声で
「明日!6時に理科室に来てください!」
と聞いてみた。
怖い。顔もよく見れないほど緊張した。蝉の声だけが鳴り止まなかった。彼は振り返ると、
「分かった」
とだけ答えて去っていった。私は胸いっぱいに幸せな気持ちを抱え、家に向かった。


次週。バイキンマン現る。