「…でも、お祭りはもう儀式をするためだけのものだから……。

出店なんてないよ?

回るところなんて、どこもないんだよ?


それに、最後にお父さんとお母さんと一緒にいてあげなくてもいいの?」


私がたずねると、麗香はこう答えた。


「うん。

神社に入る前に、家族と会う時間をつくってもらったの。

大山さんにお願いして」

「大山のおじさんが…?」


大山のおじさんの顔を見る。

おじさんはこう言った。


「だって…可哀想じゃないか……。

こんなに若いってのに……」


そう言って、おじさんは涙を流す。