一人、帰り道で私は呟いた。

すると後ろから


｢なんてことを言うんだ！！｣

と大きな怒鳴り声が聞こえてきた。

驚いて振り返ると、そこには大山のおじさんと、担任の田岡先生がいた。


｢クレナイサマをそんな風に言っちゃいかん！｣

｢祟りに遭うぞ！｣


普段優しいおじさんと先生が顔を真っ赤にして怒る。

どうして、そこまでクレナイサマを崇めるの？

なんで、紅祭りを、儀式をやめないの？

そのせいで、麗香はクレナイサマに殺されるかもしれないのに！！


そう言いたかったが、二人があまりにも普段と違いすぎるので、私は何も言うことができなかった。

しばらく説教されて解放されたあと、二人はいつもの、優しい二人に戻っていた。


どうして、クレナイサマの悪口を少し言っただけであんなに豹変したのだろうか…。

一体、クレナイサマとは彼らにとって、何なのだろう…？