いつも優しいお父さんが、あんな大声を出すなんて…。

私は驚きすぎて、食欲を失くしてしまった。


なんで、そこまで怒るのか?


確かに、“クレナイサマの祟り”というのを本来クレナイサマを崇める立場のはずの私達が口にするのは不謹慎だ。

しかし、日本人がクリスマスを楽しみながら特にキリスト教を信仰しているわけではないように、

この村の人達も紅祭りを楽しみながらクレナイサマなんて、本当は村の若者のほとんどは崇めてなどいないのだ。

崇めているのは、年寄りばかり。


それも、ほとんど男の人だ。


だから、村の年寄りの男の人達ばかりで構成されている村の本部は、何度も今年の紅祭りをやり直そうとするのだ。

なぜ、年寄りの男の人ばかりがクレナイサマを崇めるのかは、よくわからないが…。