「なっ…」


振り返ると、幼なじみの常葉総司(トキワソウジ)が笑みを浮かべてそこにいた。


「総司!」

「あ、総司君」


私に続けて、麗香が総司の名前を言う。


「紅花は水洗いして灰汁に浸すと紅色の色素が出てくるんだよ。

だから紅花って言うんだ。

そんなことを知らないのか、三里(ミサト)は」


さらに私をバカにする総司。

頭にきた私は、総司にこう言い返す。


「何よ!アンタこの前のテスト赤点とってたくせに!

それに、アンタが詳しいのは紅祭りに関するものばっかりで、それ以外のことはさっぱりじゃない」

「なんだと!」


私達が言い合っていると、私達の間にいた麗香が気まずそうに


「ちょっと、私を間に挟んで夫婦喧嘩はよしてくれない?」


と言った。