「でも、本部のリーダーの天宮(アマミヤ)さんが紅祭りのやり直しをするって言った以上、私達にそれを覆す権力はないからねぇ…」


天宮…うちのクラスにいる天宮可奈子(カナコ)の父親のことだ。

そいつが、紅祭りのやり直しを行うことを決め、他の本部の人達もそれに賛成してる…。


狂ってる…。

本部は、頭がおかしい!


「それで、新しい捧げ者も、もう決まったらしいわよ」

「えっ、だ、誰なんです!?」


それまでおばちゃんとお母さんの会話を盗み聞きしていた私は、思わず会話に飛び出した。


「あら、三里ちゃん。

あのね、次の捧げ者は…木崎(キザキ)さんのところの次女の心(ココロ)ちゃんよ」


心…が?

嘘……。


木崎心。

隣のクラスの女子。

うちの学年で一番可愛いと言われている女の子。

去年同じクラスで、とても仲良くしてくれた子だ。


あまりにも身近すぎる人が殺されるかもしれないという不安。

いや、ここまで来たら殺されるのはほぼ確実だろう。


「そんな…」


私は、そう呟いて自分の部屋に戻っていった。