嘘でしょ…?

なんで…。


捧げ者に選ばれた二人が、殺されたんだよ…!?

それなのに、またやり直しをするなんて…正気の沙汰じゃない!


「村の本部がそう決めたらしいわ」

「そんな、ありえない…」


お母さんが言う。


「私もそう思ったのよ!

うちの旦那も本部の人でしょ。

だから、『いくらなんでもそれはどうなの?』って言ったんだけどねぇ…」

「旦那さんはなんて?」

「『儀式は、村を守るために大切なことだから』って…。

そんなに儀式が、クレナイサマを崇めるのが大切なことかしらねぇ……」


おばちゃんの旦那さん…大山のおじさんが…?

大山のおじさんといえば、毎年畑の野菜を分けてくれたり、お正月にはお年玉をくれたりしてくれる優しい人だ。

そんな優しいおじさんが、そんなことを言うなんて、想像がつかない。


どうして捧げ者の命よりも、クレナイサマを崇める儀式が大切だと言えるのだろうか?