「別に、ただの勘だけど…」

麗香は遠慮がちに答える。


「勘…かぁ……」


私は、不安になってきた。

麗香の勘はよく当たる。

この前だって、勘だけでテストで六十点をたたき出したと言っていたし、

先月出かけたとき、

「この電車乗りたくない」

と麗香が言ったので、別の電車を乗ることにしたのだが…。

なんと、麗香が乗りたくないと言っていた電車が事故に逢い、乗客がたくさん死んでしまったのだ。


それに、麗香は人が考えていることをすぐに当ててしまうところがある。

私は麗香の言っていることが本当になるんじゃないかと思った。


「外れているといいね、その勘…」

そう言って、私はおにぎりを頬張った。

昆布が入っているのにもかかわらず、おにぎりには味がしなかった。