お祭りの話を聞きたくなかったので、私はテレビをつけてお母さんの声をかき消そうとした。


花の育て方を紹介する番組で、紅花が出てきた。

紅祭りを連想してしまった私は、テレビを消した。


「あっ、ちょっと消さないでよ」


そう言って、お母さんがテレビをつけ直し、チャンネルをニュース番組に変える。


「うーん…やってないわね、小枝さんの娘さんのこと。

犯人はまだ見つかっていないらしいし…」


またそのこと…。

もう、聞きたくない…。


朝ご飯を食べ残して、私は自分の部室に向かう。


「ちょっと、朝ご飯もういいの?」

「もういらない」


そう言って、私は強めに部屋の扉を閉めた。