「次の捧げ者、誰が知ってる?」


麗香がたずねる。


「あー、知ってる知ってる。

あの人でしょ、すっごく美人って噂の小枝(コエダ)さん」


小枝美和子(ミワコ)さん。

同じ学校の一個上の先輩だ。

アイドルみたいな愛くるしい容姿で、いつも男子が噂している。


「そうそう、その人!

嫌だよね、真っ白で薄い服を着て神社で一晩!」


私なら耐えられない、というように麗香が言う。


「まあ、冬にやられるよりはいいでしょ」

「そうだけどさあー」

「私はそれより、紅花を持たなきゃいけないっていうのが気になるな」

「え?なんで?」

「だって、紅花って黄色っぽいじゃん。

紅って赤のことでしょ?それなのに黄色って、変じゃない?」


私がそう言った瞬間、背後で


「バーカ」


という声が聞こえた。