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神社で一人、私は紅花を持ってただ静かに座っていた。

足が痺れてくる。

退屈だ。


なんで、私が捧げ者なんかに選ばれてしまったのだろう…。

ずっと前から友達と一緒にお祭りに行こうと約束していたのに、捧げ者に選ばれ、儀式のせいでその約束はなくなってしまった。


夜とはいえ、今は夏。

冷房も扇風機もないので、神社の中は暑く、全身から汗がダラダラと流れる。


こんなんだから、眠ることもできない。

まあ、儀式中に眠ってはいけないのだが…。


「はぁ……」


私はため息を漏らした。