私達は靴箱でスリッパからスニーカーに履き替え、学校を出た。

学校から家まではかなり距離があり、必然的に麗香と喋る時間が長くなる。


「そういえば、明日は紅祭りだね」


麗香が言った。


紅祭り。

それは私達が住む村で伝統的に行われているお祭りのことだ。

村の神、“クレナイサマ”を祀っている九礼奈為(クレナイ)神社を中心に、村中に屋台が賑わい、花火なんかもやったりする。

そして、クレナイサマへの捧げ物ならぬ“捧げ者”が毎年ランダムで選ばれ、

捧げ者は紅花を持って九礼奈為神社の中で一夜を明かす。

朝になれば、神社を出る。


それが、クレナイサマを崇めるための儀式なのだ。