嘘でしょ、まさか、本当に?

いや待て、総司を話を思い出すんだ。

確か、沙苗ちゃんはクレナイサマと同じ仮面をつけた男達に襲われたのだと言っていた。

こいつも、おろらく本部の人間で、クレナイサマに化けて私のことを犯そうとしているに違いない。


犯されてたまるものか。


「そんなに身構えなくてもよい」


仮面の男は、私にそう言った。


「それは…俺の短刀だな。

ずっと前に失くしたと思っていたのだが…」

「えっ、あ!」


強く握っていた短刀を、あっさり奪われてしまった。

こいつ…なんて力なの…!?

まさか、本当に…?

いやそんなわけない!

そんなこと、あるわけない!


「見ていたぞ、お前のこと。

今まで捧げ者の女を殺めてきた男を、この短刀で返り討ちにしたな」

「なんで、そのこと…!」

「言っただろう、ずっと見ていたと」