だけど、何も起きない。


私は恐る恐る、ゆっくり目を開いた。


そこには、血まみれの総司がいた。


総司が、私に振り下ろしたナイフを自分に刺した…というわけでもなさそうだ。

総司が持っていたナイフは、綺麗なままだ。


じゃあ…一体誰が?


…ああ、私だ。

私が、持っていた短刀で総司を刺したんだ。


「バカだね、さっき私が短刀で髪の毛切ったの、ちゃんと見てたの?

それなのにナイフを大きく振るなんて、殺し放題じゃん…。

本当に、バカだよ」


私は、総司に刺した短刀を抜いた。


「ああああああああっ!!」


総司の体から、大量の紅い血が噴き出される。


「さようなら」


血塗れの総司に、私はそう言った。

総司のが着てきたパーカーのポケットから、私が捨てた紅花が落ちた。

紅花は総司の血に染まり、紅くなった。