暮れない夜、染まる紅(あか)

朝、呼び鈴の音で目が覚めた。

沙苗が帰ってきたんだ。

母さんはまだ寝ていたので、俺は母さんの代わりに玄関の扉を開けた。


そこには予想通り沙苗が立っていた。

しかし、様子がおかしい。

沙苗の体にはたくさんの傷がついていたのだ。

手首や足首には、強く握られてついたアザのようなものも見られた。

そして、白かった服裾の方に血がついている。


「沙苗…お前、どうし…」


「どうしたんだ」と言い切る前に、沙苗は俺に抱きついた。


「うわああああああああああああああああああああああっ、お兄ちゃっ、お兄ちゃああああああん!!

うっ、私、私っ…うっ、ああああああああああああああああああああ!!」