暮れない夜、染まる紅(あか)

「そういえば、沙苗ちゃんは?

姿が見えないけど」


三里が辺りを見渡す。


「ああ、もうすぐ神社の中に入る頃だと思うんだけど…」


俺がそう答えたとき、タイミングよく沙苗が現れた。

沙苗は白い服を着て、紅花を手に持っていた。

沙苗の周りには村の男の人がたくさん囲っているので、話しかけられない。


「わー、沙苗ちゃん綺麗だね!」

「ほんとほんと!お人形さんみたい!」


と三里と今居が騒ぐ。

他にお祭りに来ている人達も、同じように沙苗の容姿を褒めていた。

今居はともかく、三里は沙苗の暴力的性格を知っているくせに何故そんなことが言えるのか。


でも確かに、沙苗の姿は周囲の人間を魅了するほど優れていた。

兄として、少し誇らしかった。