教室に着くと、みんなから沙苗が捧げ者に選ばれたことについて質問された。


「なあ、捧げ者にお前の妹が選ばれたってマジで?」

「捧げ者ってなにすんの」

「なあなあ!」


捧げ者に選ばれた奴の兄でさえこんなに質問攻めにされている。

きっと、当の本人はもっと質問攻めにされているに違いない。


家に帰ると、ソファでぐったりと横たわっている沙苗の姿があった。

「つ、疲れた…」

と沙苗は漏らした。


どうやら、俺の予感は的中したらしい。


「なんでみんな私が捧げ者に選ばれたこと知ってんのよ…。

選ばれたのは昨日のことなのに!」


沙苗は足で何度もソファを蹴りつけ、怒りをあらわにする。


「なんか、大山のおばさんがバラしたらしいぞ」


俺は制服のネクタイを解きながら答えてやった。